「診断士の資格を取ったら人生変わる」──そう聞いて調べてみたものの、実際にどんな働き方ができるのか、いまいちピンとこない。そんな方も多いのではないでしょうか?
本記事では、中小企業診断士の資格を取得した後に、どのような仕事ができるのか、実例を交えて具体的に解説します。
副業・転職・独立まで、診断士の活かし方のリアルを覗いてみましょう。
中小企業診断士とはどんな資格?
「中小企業診断士」という名前は聞いたことがあるけれど、実際にどんな資格で、どんな人が持っているのかは意外と知られていません。
まずは、その概要から確認してみましょう。
国家資格としての位置づけ
中小企業診断士は、「経営コンサルタント唯一の国家資格」として位置づけられています。
法律上は中小企業支援法に基づく資格で、国(中小企業庁)が認定しているため、信頼性が高く、ビジネスパーソンにとっては“名刺代わり”になる資格のひとつです。
特に最近では、中小企業や個人事業主の経営支援に注目が集まっており、公的機関や自治体からのニーズも拡大しています。
士業や他の専門資格とのダブルライセンスで活用するケースも増えてきました。
どんなスキルが求められる?
診断士試験は、経営戦略・マーケティング・財務会計・人事労務・法務など、経営全般に関する7科目で構成されています。
さらに、筆記試験を突破した後には実務的な口述試験もあり、知識だけでなく論理的な説明力や応用力も問われます。
つまり、「知識の詰め込み」だけでは通用しない試験である一方で、合格者には“実践的に考え、伝える力”が備わっていることが認められるのです。
そのため、資格を取った後は単なる資格保有者としてではなく、企業やクライアントの信頼を得て「実務の現場で活躍できる人材」として重宝されるようになります。
診断士ができる主な働き方5選
中小企業診断士の資格を取得したからといって、すぐに独立してコンサル一本で食べていく必要はありません。
むしろ、現在の仕事と両立しながら少しずつステップアップする方が多数派です。
ここでは、診断士資格を活かした5つの代表的な働き方を紹介します。
企業内診断士として社内活用
企業に勤務しながら、社内の業務改善や新規事業立ち上げなどに診断士の知識を活かすスタイルです。
診断士の取得を評価し、昇進や異動の際にプラスになる企業も少なくありません。特に経営企画・人事・営業企画といったポジションでは、知識をすぐに業務に反映できるため、企業内診断士としての存在感が高まっています。
副業で活かすコンサル活動
本業を続けながら、週末や平日の夜を使って副業としてコンサル業務を行う人も多くいます。
主な活動内容としては、創業支援、補助金申請支援、経営改善のアドバイスなどがあり、公的機関の登録専門家として活躍するケースもあります。
「副業で月5万円」という現実的な収入アップを目指すには、まさに最適な資格のひとつです。
独立開業してフリー診断士に
ある程度の実績と人脈を築いたのちに、思い切って独立する道もあります。
独立診断士は、企業から直接案件を受託したり、公的支援機関の派遣コンサルタントとして登録することで、安定した収入を得ているケースが多いです。
また、自らセミナーや研修を開催したり、書籍やnoteでの情報発信から収益化するなど、多様なキャッシュポイントを持つ人も増えています。
行政や支援機関との連携業務
商工会議所やよろず支援拠点、都道府県の産業振興センターなど、診断士の登録を受けて活動する“公的機関系コンサル”も人気の働き方です。
このスタイルは安定した案件が見込める一方で、収益単価はやや抑えめ。
ただし、信頼性や実績を積むには最適で、キャリア初期の土台づくりとして有効です。
教育・講師としての活動
中小企業診断士の知識と経験を活かして、資格スクールや自治体講座、企業研修の講師として活動する道もあります。
とくに「話すのが好き」「教えるのが得意」という方には相性の良い働き方です。
講師として活動することで、自分の専門分野を磨きつつ、安定した副収入にもつながります。
実際の年収・収入モデルを公開
中小企業診断士の資格を取ったあと、「どれくらい稼げるのか?」は誰もが気になるポイントです。
実は働き方によって収入は大きく異なり、副業レベルから本業としての高収入まで、さまざまなモデルが存在します。
以下で主な3タイプの収益モデルを紹介します。
会社員との兼業パターン|副業で月3〜10万円が現実的
本業を持ちながら、空いた時間で診断士活動を行う「副業型」は、最も取り組みやすいスタイルです。
具体的には、次のような案件が代表的です:
• 商工会議所などの経営相談:1件あたり5,000〜10,000円
• 補助金申請サポート:1案件あたり5〜15万円程度
• 小規模事業者の経営改善アドバイス:1時間5,000円〜
週末や平日夜に活動すれば、月3〜5万円程度の収入を安定して得ることも可能です。
実務のスキルアップをしながら副収入が得られる、一石二鳥のモデルです。
独立後の収益パターン|年収500〜1,000万円も可能
フリーランス診断士として独立した場合、収益の幅は広がります。
実際に独立後のフルタイム稼働で、年収500万円〜1,000万円クラスに達している方も少なくありません。
収益源の一例を紹介します:
• 公的支援機関の登録業務:日額2〜4万円
• 民間企業のコンサル:月額20〜50万円の契約例も
• セミナー登壇・企業研修:1回3万〜20万円
• 執筆・オンライン講座販売:継続収入につながるケースあり
特に「補助金サポート」や「経営革新計画の策定支援」は高単価で需要があり、実績と信頼を積み重ねることで安定した収益基盤を築けます。
副収入+将来の備えとしての活用
「今すぐ独立する予定はないけれど、将来に備えて資格を活かしたい」という方も多いでしょう。
その場合、診断士としての活動を実績づくりの場と位置づけて、少しずつ収入につなげていくのがおすすめです。
• スキマ時間に副業案件をこなす
• 実務従事を通じて経験を積む
• SNSやブログでの情報発信を始める
こうした積み重ねが、将来的な転職や独立に大きなアドバンテージとなります。
診断士資格は、“すぐ稼げる武器”というよりも、“育てて活かす資産”と捉えるのが現実的です。
こんな人におすすめ!診断士の働き方
診断士の資格は“どんな人にも万能”というわけではありません。とはいえ、一定の志向やライフスタイルを持つ人にとっては、まさにピッタリな選択肢になります。
ここでは、診断士の働き方が特にフィットするタイプをいくつか紹介します。
定年後のセカンドキャリアを考えている人
会社員としてのキャリアが一段落し、「これからも社会と関わりながら働きたい」と考える方に、診断士は非常に相性の良い資格です。
公的支援機関や中小企業との連携業務なら、体力的な負担も少なく、週2〜3日の稼働でも報酬を得ることが可能。まさに“知識と経験で稼ぐ”働き方が実現できます。
また、若い頃の専門スキル(経理・営業・企画など)に診断士の知識を掛け合わせれば、即戦力としても重宝されます。
今のスキルを活かして副収入を得たい人
「今の仕事は続けたいけど、将来に備えて副収入の柱を持ちたい」──そんな思いを持つ方にも診断士はおすすめです。
資格取得後は、土日や平日の夜だけでもできる副業案件が多数存在します。
特に、自分の業界に強みを持っている方は、その業界の支援に特化した診断士活動で差別化が可能です。
たとえば、IT業界出身なら「DX支援」、製造業出身なら「現場改善」といったテーマで活動することができます。
「人の役に立つ」やりがいを求めている人
診断士の仕事は、困っている中小企業や創業者を支える“支援型”の働き方が中心です。
数字だけでなく、「ありがとう」「また相談したい」といった感謝の声を直接もらえる機会も多く、やりがいを重視する人には非常に満足度の高い職業といえるでしょう。
また、企業支援を通じて地域貢献につながる場面も多く、「自分の知識や経験が社会に役立っている」という実感を得やすいのも大きな魅力です。
資格取得後に役立つおすすめサービス・教材
中小企業診断士に合格した後は、いよいよ実務の世界へ。
しかし、資格を取っただけでは十分に活かせないのが現実です。
そこで大切になるのが「実務経験」と「継続的なインプット」です。
このセクションでは、診断士資格を活かして働くうえで役立つ、おすすめのサービスや教材を厳選してご紹介します。
診断士向け案件マッチングサービス
資格を取ったばかりの方にとって、まず課題となるのが「仕事をどうやって見つけるか」です。
そんな時に便利なのが、コンサル案件に特化したマッチングサービスや、診断士同士で情報交換ができるオンラインコミュニティです。
• 【例】ココナラビジネス(中小企業支援カテゴリが充実)
• 【例】コンサルネット(実務従事の機会が豊富)
• 【例】ストアカ(セミナー講師デビューにも)
実際に仕事を得ている診断士も多く、まずは登録して情報収集を始めてみましょう。
おすすめの実務従事講座
診断士登録には「実務従事」または「実務補習」が必要ですが、社会人にとって日程が合わないこともあります。
そんな時は、オンライン対応の実務従事支援講座を活用するのがおすすめです。
• 【例】フォーサイト:中小企業診断士 実務従事支援プログラム
• 【例】企業診断協会 認定のオンライン案件紹介制度
実務経験と報酬が同時に得られる講座は、費用対効果も高く非常に人気です。
副業・独立支援の無料ツール&情報発信サービス
「副業や独立も考えているけれど、どう始めていいかわからない」という方には、以下のような無料ツールや発信支援サービスの活用をおすすめします。
• 【例】Canva:診断士用プロフィール資料の作成に便利
• 【例】ペライチ:自分のサービスを紹介するランディングページ作成ツール
• 【例】note:実績や経験を発信しながら収益化ができるプラットフォーム
初心者でも使いやすく、スキルゼロから始められるのが魅力です。
まとめ:診断士の働き方は「自分で選べる時代」
中小企業診断士の資格は、使い方しだいで「収入」も「やりがい」も手に入れることができます。
本記事で紹介したように、働き方の選択肢は豊富で、人生のフェーズに応じた柔軟な活かし方が可能です。
資格取得後の一歩を迷っている方は、まずは副業から小さく始めて、少しずつ自分の「診断士としての働き方」を見つけていきましょう。
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